不登校の簡単な治し方はあるのか?ないのか?
結論から言えば、あります。
不登校を簡単に治す方法は、あるのです。
ただし、「簡単なこと=誰でもできること」とは限りません。
例えば、不登校の例ではありませんが……
一日に一度、妻が夫の顔を思い浮かべて
「いつも家族のために一生懸命働いてくれてありがとう。感謝しているよ」
と心の中で思うことは簡単でしょう。
でも、その簡単なことを365日欠かさずに毎日続けることは簡単でしょうか?
「簡単なことを続ける」ということが誰でもできるでしょうか?
できませんよね。
ほとんどの人にとって難しいことのはずです。
不登校に関しても同じです。不登校の簡単な治し方はありますが、それが誰でもできることとは限りません。親御さんによっては、その簡単なことが難しいのです。
そのことを踏まえた上で「不登校の簡単な治し方はある」とお伝えしていますので、そのことを頭に置きながらこの先をお読みください。
<目次>
1つの質問から見えてくること
不登校の簡単な治し方は、ある1つの質問に答えることから見えてきます。
【質問】学校に行かない子供がどんな状態に変わったら、学校に行きたくなるだろう?
この質問で思考を広げてみてください。
どんな答えが思い浮かびますか?
答えは無数に存在しますが、例えば、こんな答えが思い浮かんだ親御さんもいるでしょう。
<回答例>
・「学校に行く必要はない」と考えていた子供の頭が「やっぱり学校に行く必要はある」と切り替わったら、学校に行きたくなるかもしれない
・心も体も疲れきっていた状態が回復し、心も体も元気になり、「エネルギーがありあまる状態」になったら、学校に行きたくなるかもしれない
・学校で他の生徒よりも明らかに優れていることが1つでもできたら、学校に行きたくなるかもしれない
こうして1つの質問に答えることで思考を広げていくと、子供が学校に復帰する可能性が十分にあることがわかるはずです。
可能性が見えてくると、その可能性に合わせたサポートを怠りません。
例えば、
「『学校に行く必要はない』と考えていた頭が『やっぱり学校に行く必要はある』と切り替わったら、学校に行きたくなるかもしれない」
と意識している親御さんは「子供の考え方が切り替わるチャンスを奪わないことが重要だ」とわかるでしょう。
その理解があれば、子供がインターネットで何かを調べたり、誰か新しい人と出会ったりすることを、邪魔しないはずです。(むやみやたらと危険視して反対したりしないはずです)
こうして「余計な邪魔をやめること」が不登校改善のためのサポートとなります。
それだけではありません。
例えば、子供が「本を買ってきて欲しい」と言ってきたときに、それが不登校脱出のきっかけになる可能性も十分にあるとわかるでしょう。
「本を読むことで考え方が切り替わったら、学校に行きたくなるかもしれない」
と分かるので、本を買ってあげることが不登校改善サポートになる可能性となることがわかるのです。
こうして、可能性に合わせたサポートを怠らなくなるため、質問などで思考を広げておくこと(頭をやわらかくしておくこと)が重要なんですね(^-^)
やることは、1つの質問に答えて思考を広げておくだけ!
簡単だと思いませんか?
不登校で絶望する必要はない
ここまで読んできて気づいた親御さんも多いかもしれませんが、ほとんどの親御さんは勝手に思考に制限をかけて勝手に絶望しています。
思考にやわらかくして頭のなかを広げていけば、さまざまな可能性が見えてきて「子供が学校に復帰する可能性も十分にある」とわかるのに、思考を硬直させて縮こまっていることでそれがわからなくなるんですね。
それで「この子はもうダメかも」「この子の人生終わりだ」などと思ってしまい、絶望してしまうのです。
その絶望によって「子供の未来に広がっている無限の可能性に合わせたサポート」ができなくなってしまっていますし、親御さん自身の気持ちの低下が子供にも伝染し、子供のパワーダウンになってしまっています。
それで不登校が悪化するばかりなのです。
ですから、まずは親御さん自身が頭をやわらかくすること。
そして感情を安定させること。
これが不登校の簡単な治し方の1つ(というより出発点)です。
頭をやわらかくする方法の1つとして、前述の質問を活用するといいでしょう(※)。
※前述の質問:学校に行かない子供がどんな状態に変わったら、学校に行きたくなるだろう?
少し厳しいことを言いますが……
甘く考えないでください。
残念なことですが、「頭をやわらかくすること」を甘く考えてしまう親御さんが大半です。今、これを読んでいる時点では頭がやわらかくなっている親御さんでも、数日も経てばあっという間に元通りになって思考が硬直し、再び気分が落ちこむでしょう。
そうして何も変わりません。
(親の変化も子供の変化も起きません)
ですから、今これを読んでいるみなさま全員、意識を高めていただきたいと思います。
「一時的に頭をやわらかくすることは簡単でも、継続して頭をやわらかくすることは簡単ではない。頭をやわらかくした状態をキープすることはほとんどの親にとって難しいこと」
そう覚えておきましょう。
子供があっさり学校に行く!
念のため、おさらいも兼ねて、残り2つの例に関しても具体的な解説を加えておきましょう。
まずは、ポイントのおさらいです。
「学校に行かない子供がどんな状態に変わったら、学校に行きたくなるだろう?」と自分自身に質問する
↓
質問に答えて思考を広げていくと、子供が学校に復帰する可能性が十分にあることがわかる
↓
可能性が見えてくると、その可能性に合わせたサポートを怠らない
このポイントの最後の「可能性が見えてくると、その可能性に合わせたサポートを怠らない」という点について、例をまじえて補足しておきます。
例えば、
「心も体も疲れきっていた状態が回復し、心も体も元気になり、『エネルギーがありあまる状態』になったら、学校に行きたくなるかもしれない」
と可能性を意識している親御さんがいたら、その親御さんのお子さんに対する接し方は何も意識していない親御さんとは全く違ったものになるでしょう。
“可能性の意識”がある親御さんは、子供が心や体を少しでも元気にすることを始めたら大喜びするはずです。それがゲームでもアイドルの追っかけでも道端でボールを蹴るだけでも、「この変化が不登校脱出に結びつく可能性も十分にある」と分かっているので大喜びできるのです。
その喜びは、子供の原動力となります。親が喜んでいることなら子供はやりやすいですし、「次はこういうことをやってみたい」というお願いもしやすくなります。
それで心や体を元気にすることに弾みがついて、あっという間に心も体も元気になり、エネルギーがありあまるようになった子供はあっさり学校に行くかもしれません。
たった1つ、親御さんの“意識”だけで子供の未来が大きく変わってしまうのです。
「学校で他の生徒よりも明らかに優れていることが1つでもできたら、学校に行きたくなるかもしれない」
と意識できている親御さんも同様です。
この意識がない親御さんは子供が学校にいかずに部屋でマンガばかり読んでいるときにイライラしてしまうかもしれませんが、“可能性の意識”ができている親御さんは余裕を持って接することができます。
その余裕のある親の態度だけでも、子供の力になります。
余裕のある親のもとで育つ子供は自分の好きなことに取り組みやすく、そこで思わぬ才能が開花して「学校で誰にも負けない分野」ができ、その自信で学校に行くようになることがあるからです。
“可能性の意識”ができている親御さんは、さらに現実的なサポートもできるでしょう。
「こうしてマンガを読んでいることで、マンガに関する知識がずば抜けて大きな自信になるかもしれない。そのうち自分でもマンガを描くようになって何かで小さな賞をとったら大きな自信になるかもしれない。そうなれば、学校で他の生徒よりも明らかに優れていることが1つできるわけで、それがきっかけであっさり学校に行くようになるかもしれない」
こんなふうに考えられるので、その子がマンガを読んだり描いたりすることを現実的にサポートできるのです。(例:漫画を描くために必要なものを買ってあげる)
それでますます自信を得やすくなった子供は、ますます不登校脱出に向かいやすくなります。
いかがでしょう?
不登校の簡単な治し方、見えてきましたか?
大切なことは、この簡単なことを継続的に行なっていくことです。いちど行なっただけではほとんど効果がありませんから、何度もこの記事を読み直し、繰り返し取り組んでいくといいでしょう。
<追記>
本文とは全く異なるアプローチですが、不登校の簡単な治し方として「家事をやってもらう」という方法もあります。
私のこれまでの不登校支援の経験上、学校に行かない子供に「家事」をやってもらうことで不登校が治った事例が多いのです。(※)
※もちろん、下手に強制すれば逆効果で不登校が悪化してしまうので、コミュニケーションのとり方に自信がない方は不登校専門家のもとでコミュニケーション改善のトレーニングを受けてください。
親子のコミュニケーションが良好なら、次のように言ってみることでうまくいくこともあります。
「学校にどうしても行きたくないなら、それでいいよ。私たち親はあなた(子供)の『学校に行かない』という決断を尊重したいから。きっと親には話せないこともあるんだよね。だから、理由は分からないけどあなたを苦しめたくないから私たち親はあなたの『学校に行かない』という決断を尊重する。ただ、『学校に行かないこと』と『家で何もしないこと』は別だと思う。あなたの『学校に行かない』という決断を尊重するのだから、親の考えも尊重して欲しい。親の考えとしては、あなたが家で何もせずに過ごすことで気分が沈んでいくのが嫌なの。あなたが元気に動いている姿を見ていると嬉しいし、あなたのイキイキした表情を見ていると幸せだから。だから、家事の一部をあなたに任せたい。掃除・洗濯・お風呂掃除、この3つをあなたに任せていい?」
もちろん、これはあくまでも一例で、この文章のまま言えばいいということではありません。ご家庭の状況に合わせて細かいところは変更する必要があります。ただ、中身としては上記のようなことを言ってみると不登校が治る方向に動き出す場合もあるんですね。
上記の例でも挙げましたが、おすすめは掃除・洗濯・お風呂掃除の3つです。この3つを子供に任せて、それを毎日やることを条件として不登校を許容すると、不登校が治る方向に向かっていきます。
なぜか?
その理由は、物理的な洗浄過程が心理的な浄化過程を生じさせるからです。
みなさんご経験がおありだと思いますが、部屋を掃除して気持ちまでスッキリしたり、晴れた日に洗濯物を干して気持ちまで晴れやかになったりしますよね?
それが、物理的な洗浄過程と心理的な浄化過程のリンクです。
このリンクが毎日蓄積されていくと、しだいに子供の精神が浄化されてきて、気持ちが楽になり前向きになってくるんですね。
それで不登校が治るのです。
まとめます。
不登校の治し方は簡単、次の3つを子供にやってもらえばいいだけです。
1.掃除
2.洗濯
3.お風呂掃除
そんな簡単なことで不登校が治ったら誰も苦労しないよ……と思うかもしれませんが、本当に治った事例があるんですよ。
ただし、これは親子間のコミュニケーションが良好な場合に限られます。
親子間のコミュニケーションが崩壊している場合には上記の方法を実行する前にやるべきことがありますから、それはまた別の機会にお伝えしましょう!(※)
※急ぐ方は不登校専門家のもとでコミュニケーション改善のトレーニングを受けてください。シア・プロジェクトでは「ひふみ~よ」という名称でサポートを提供しています。ひふみ~よのサポートを受けることで、親子間のコミュニケーション改善が急速に進みます。
執筆者:シア・プロジェクト代表 木村優一
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