「今、間違った不登校対応の情報が広まっている……」
10年以上の不登校支援経験がある専門家として、はっきり言えます。
今、間違った不登校対応の情報が増えています。そして、これから先も、間違った情報が広まっていくでしょう。SNSなどで誰でも気軽に情報発信ができる時代では「個人」や「自称専門家」が無責任に情報発信しますし、誰もがスマホを持つ時代ではその無責任な情報が拡散されやすく、受け取りやすい環境ですから、昔以上に間違った情報が広まりやすいのです。
私は以前、不登校の子供を持つ親御さんからの電話を受け、直接相談していただく形でサポートを行なっていました。現在はそのような形でサポートすることは行なっていませんが、今も違う形で不登校サポートを続けているので毎日不登校相談を受けているようなものです。
専門家として活動してきた期間は10年以上。その10年以上の不登校相談から見えてきたことの一つが、間違った不登校対応の情報の広まりです。非常に危険なことですので、この記事でしっかりとお伝えしていきます。
間違った不登校対応の情報が広まっている
冒頭でもお伝えしたとおり、現代では
「間違った不登校対応の情報が広がっている深刻な事態」
が起きています。
私のもとにやってくる親御さん(初めてSIAPROJECTのサポートを受ける親御さん)の話を聞くと、まず、その知識のズレに驚かされます。
みなさんとんでもない勘違いをしていて、その勘違いで子供の状態が急激に悪化していることに気づいていないのです。
その無自覚の過ちを直接指摘しても、その親御さんは変わりません。あまりにも意識(知識)がずれているので、私の助言の意味がよくわからなかったり、気持ちの面で受け入れられなかったりして、反発が生じるだけなのです。(そのため、私のサポート「ひふみ~よ」では反発が生じない形で学びが得られるようにシステムが工夫されて作られています)
なぜ、そこまで意識がズレてしまうのでしょうか?
なぜ、そこまで勘違いしてしまっているのでしょうか?
原因は、はっきりしています。
間違った不登校対応の情報が広まっているからです。
厳しい現実ですが、正しい不登校対応を理解している専門家はほとんどいません。間違った不登校対応の情報を頭に入れている「自称不登校専門家」はあふれていますが、本物の不登校専門家はごくごく少数です。
問題は「どういう専門家が選ばれやすいか」です。
困ったことに、ニセモノの不登校専門家のほうが耳障りのいいことを言いますので、親御さんの耳には魅力的な話に聞こえます。「この方法で、すぐに不登校が治りますよ!!」などと口がうまいのはニセモノなのですが、不登校の子供を持つ親御さんにとってはそのような強い言葉が魅力的です。そのため、不登校の子供を持つ親御さんの多くがニセモノの不登校専門家に引き寄せられ、そのアドバイスを真に受けてしまい、間違った知識が染みついてしまい、意識(知識)のズレがとんでもないことになるのです。
特に今はスマホひとつで情報がいくらでも得られますから、間違った情報に洗脳される危険性が非常に大きいと言えるでしょう。
不登校対応についていろいろと調べているうちに「間違った不登校対応情報」を頭に刻みつけてしまい、表面的な対応改善に終始し、それよってエンドレスで不登校に悩み続けることになる……
そんな深刻な事態におちいっている親御さんが、数多く存在します。
まずは、そうした深刻な事態に陥っているのが現在の日本の不登校対応の現状であることを理解するといいでしょう。
不登校の再発を繰り返していませんか?
知識の誤りを、すでに自分自身の経験で実感している方もいるでしょう。
子供の状態が一時的に良くなっても、しばらくたつと再び悪化する……
それをずっと繰り返しているなら、親の知識が間違っている証拠です。
学校に行くようになったと思ったら、しばらくして再び学校に行かなくなる……
昼夜逆転が治ったと思ったら、しばらくして再び昼夜逆転に戻る……
引きこもりが治ったと思ったら、しばらくして再び引きこもりになる……
こんなふうに好転と悪化をエンドレスで繰り返していませんか?
「まさにうちの子がそれだ!」と思った親御さんは、そもそもの不登校対応知識が大きく間違っているはずです。
落ちこむ必要はありません。
現在の日本では、それが“普通”なのですから。
大切なことは、“今からどうするか”です。
不要な不登校情報を頭に入れないようにする
不登校悪化を繰り返すのが嫌なら、不要な情報をカットするのも1つの手段として有効です。
SIAPROJECTでは思考に柔軟性を持たせるために(物事を多角的に考えられるようになるために)さまざまな情報を頭に入れることをおすすめしていますが、だからと言って情報の取捨選択を放棄することをおすすめしているわけではありません。
不要だと思われる情報を意識的にカットしていく心がけで「間違った不登校対応知識の植えつけ」が避けられるのなら、その回避は必要なものでしょう。
例1:不登校専門家ではない個人の不登校経験談は、かたよった見方に終始しているかもしれないし、浅いレベルの助言にとどまっている危険性があるので読まないようにする(聞かないようにする)
例2:つい最近まで全く異なる業界の仕事をしていた転職組の「雇われ不登校専門家」は知識も経験も浅いので、そういった人たちの助言は受けないようにする
このように工夫して不要な情報をカットすれば、間違った不登校対応知識が染みつく危険性は小さくなるでしょう。
中途半端な情報に振りまわされていたら、うまくいくものもうまくいかず、子供の未来を最悪なものにしてしまう危険性が強まります。本物の不登校対応知識を身につけている信頼できる不登校専門家だけから情報を得ることをおすすめします。
完全な不登校脱出までにかかる期間は?
正しい不登校対応情報を見つけるための参考として、
「再発リスクなしでの不登校脱出までにかかる期間」
もお伝えしておきます。
がっかりさせてしまうかもしれませんが、本当の意味で完全に不登校脱出できるまでにはある程度の期間を要します。その必要期間は個人差があるのでなんとも言えませんが、1つだけ言えることは「みなさんが思っているよりも長い」ということです。
10年以上のサポートの中で、ときには「優秀な親御さん」に出会うこともありました。
優秀な親御さんとは「頭が良い親御さん」という意味ではありません。
「不登校対応に向いている親御さん」のことです。
不登校対応に関して飲みこみが早く、明らかにセンスの良い親御さんもいました。
そういう親御さんは他の親御さんよりも早く成果を出します。他の親御さんよりも早く子供の状態を好転させ、我が子の不登校脱出に成功します。
なかには、数ヶ月で我が子の不登校脱出に成功した親御さんもいました。
ところが、その親御さんからの報告メールをその後も読みつづけていると……
しばらくしてから「また学校に行かなくなりました」と報告が来たり、「大学を辞めて戻ってきました」と報告が来たりすることがあるんですね。
そのようなケースは「結局、再発リスクが消えていなかった」ということなのです。
なぜ、そのようなことが起きるのか?
疑問に思うかもしれませんが、これは単純なメカニズムです。
人はそんなに簡単に変われないから、なんですね。
どれだけ優秀な親御さんでも、どれだけその親御さん自身が急激に変化しても、人はあっけなく元に戻ってしまいます。
特に、子供が学校に行くようになったり就職したりすると、そこで安心してしまい、油断してしまい、親御さんの元に戻るスピードが加速します。それであっという間に「元の親」に戻ってしまい、子供も元の状態(=不登校)に戻るんですね。
それで結局は再び一から対応改善に取り組むことになり、再び不登校脱出を目指すことになるので、結果としてものすごく長い期間を要してしまうのです。(※)
※いちど不登校(または不登校に似た状態)が再発した場合、一度目の不登校の時より改善が難しくなります。そのため、不登校脱出に長い期間を要するのはもちろん、その後に再発を何度も繰り返すリスクが高まってしまいます。こうしてほとんどの親御さんは我が子の不登校を長期化させてしまいます。
不登校対応に向いている優秀な親御さんでもそうなのですから、不登校対応に向いていない普通の親御さんならなおさらです。自分が思っている以上に長い期間を要すると思っておいたほうが良いでしょう。
長期間を要するのがどうしても嫌なら
「最低でも数年間は休みなしで毎日、信頼できるプロのサポートを受けて対応改善に本気で取り組む」
と決めることです。(それくらいの覚悟があれば、逆に最短期間で不登校脱出に成功するものです)
ここまで厳しいことばかり言ってきましたが(笑)、夢も希望もないわけではありません。ひふみ~よ会員のなかにはわずか数カ月で我が子の不登校脱出に成功し、その後も油断しないために毎日ひふみ〜よサポートを活用して不登校再発を防ぎつづけている親御さんもいます。希望は大いに持ってください(^-^)
ただ、「甘く考えないで欲しい」と強調しておきたいのです。
ほとんどの親御さんが不登校対応を甘く考えてしまって失敗しているので、その事実を強くお伝えさせていただきました。
リラックス状態をキープすることの重要性
ここまで読み、気合いを入れ直している親御さんも多いかもしれませんが、残念ながら気合いを入れすぎるとそれはそれでうまくいきません。
自分に厳しくしすぎると、その偏りがストレスを生じさせ、そのストレスを解消しようと他人に厳しくなってしまいます。
その「他人」の中には子供も含まれ、子供が怠けているように見えるたびにイライラしたり、厳しく咎めたりして、親子関係を急速に悪化させてしまい、不登校対応がうまくいかなくなります。
ですから、不登校対応では親御さんが上手に肩の力を抜くことも必要で、ある種のリラックス状態をキープすることが不登校対応がうまくいくコツとなります。
実は、我が子の不登校脱出に成功しやすい親御さんはリラックスの達人なんですね。
今これを読んでいるあなたは、自分自身のリラックス状態をキープするためにどんな工夫をしているでしょうか?
工夫をしていない方は、今、アイデアを出してみてください。
<例>
・うまくできないことがあっても、そのうまくできない自分自身を責めたりせず、「こんな自分も可愛らしいな」と思ってあげるようにする
・何かやらなければならないことがあっても「これをやらなければならない」と考えるのではなく、それをやりたい気持ちが生じていることを認識して、そのやりたい気持ちで動く
・呼吸が浅くなっていると感じたら、意識的に深く呼吸してみる
どんな工夫が自分自身に向いているかは人それぞれ異なるでしょうから、例にとらわれず自由に考えてみてください。
誤解のないようにお伝えしておきますが、リラックスしすぎて怠けてしまったらそれはそれでバランスを崩しています(笑)
すっかり怠けてしまって「ときどきでも対応改善に取り組めば十分だろう」「週に一度、子供と一緒にカウンセリングを受ければ十分だろう」などと考えてしまったら、元も子もありません。
そうなってしまったら、普通の親御さんと同じように「再発リスクなしでの不登校脱出にかかるまでの期間」がものすごく長くなってしまいます。
リラックス状態をキープすることは大切なことですが、それが行き過ぎて怠けになってしまわないよう気をつけましょう(^-^)
執筆者:シア・プロジェクト代表 木村優一
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